太宰治没後75年 桜桃忌2023 展示・イベント開催のお知らせ
2023/06/19
南田偵一著『文壇バー風紋青春記 何歳からでも読める太宰治』(未知谷)の刊行を記念し、
展示及びトークイベントを開催します。
■展示
「太宰治と秋田富子と林聖子」展
風紋及び林聖子さん秋田富子さんに関する展示を開催します。
6月8日(木)~6月25日(日)一部のみ展示
6月17日(土)18日(日)19日(月)3日間限定
秋田富子さん詠短歌75首現物初公開含む特別展示
*3日間本展示期間中は展示スペース拡大のため、
カフェ休止、展示と本の販売のみの営業ですのでご注意ください。
■トークイベント
南田偵一著『文壇バー風紋青春記 何歳からでも読める太宰治』(未知谷)の刊行を記念して
著者南田偵一氏をお招きし「ブックトーク&展示解説」を開催します。
・日時 2023年6月19日(水)桜桃忌 16時30分スタート17時30分時終了
・場所 フォスフォレッセンス店内 (当日は店内貸切になりますので営業は16時までです)
・定員 10名様 満席になりましたので受付終了しました。
・費用 1,000円(ドリンク付)
あらかじめ予約が必要ですので、来店時かメール・電話でお知らせください。
・持参いただくもの
当日著書の販売も致しますが、既に購入済で著者サインご希望の方は本をお持ち下さい。
質疑応答の時間も設けます。著者に直接質問出来る機会です。ぜひご参加ください。
桜桃忌イベントは2年間休止してましたが、太宰治没後75年の今年、やっと実現!
南田偵一氏の働きかけにより、林聖子さんのご遺族の了解のもと、開催できる運びとなりました。
心より感謝申し上げます。
太宰治『メリイクリスマス』シヅエ子ちゃんのモデルであり、50年以上続いた文壇バー「風紋」のマダムだった林聖子さん。
『文壇バー風紋青春記 何歳からでも読める太宰治』は、聖子さんとの思い出が綴られており、
初訪店の場面では、太宰と親交のあった人と話せたという興奮が伝わってきます。
大作家だろうと市井の文学青年だろうと温度差はなく、誰に対しても一定の尊重をもって接し、
「人の人生を誰かと比べるようなことをしなかった」という聖子さんの人柄も手に取るようにわかり、
長年続く店主の姿勢として目標にしたい、改めてそう感じました。
聖子さんの母、秋田富子さんも複数の太宰作品のモデルとなっており、『メリイクリスマス』でも
「唯一のひと」を巡る絶妙な表現で描かれています。
太宰の妻・美知子夫人の手記『回想の太宰治』「書斎」項に、太宰は書簡を保存する習慣を持たないが、ひき出しに数人の女性からの手紙があり「T子さんからの来信が一番多かった」とある。
続きの文章から読み取ると、そのT子は秋田富子さんのことだとわかります。
井伏鱒二も対談で「ある人のお母さんが非常にきれいな人でね、それに惚れてたな、
太宰は、たしかに惚れていた。」と発言し、あとに洋画家の細君という人だと答えています。
(『井伏鱒二全対談 下巻』(筑摩書房) 対談「荻窪界隈の文士たち」)
太宰治と親交の深い母娘、心が通じ合っていたような気がするんです。
この二人の女性をもっと知りたいと思いませんか?
『文壇バー風紋青春記 何歳からでも読める太宰治』には巻末資料として、
富子さんの詠短歌75首が初公開されています。
南田氏は「太宰研究における一助となれば」と発信されました。
その上直筆の現物が残っているという幸運、そして展示へと相成りました。
多くの方に見ていただきたいです。
今年は太宰治没後75年。そして同時代に三鷹に住み、没した秋田富子さんも没後75年。
太宰と同じ禅林寺に眠っている富子さん。聖子さん。
展示前後に墓参するのもいいかもしれませんね。
たくさんの太宰ファンが三鷹に来られる桜桃忌の季節に実った貴重な機会。
ぜひご覧になってください!
南田偵一『文壇バー風紋青春記 何歳からでも読める太宰治』林聖子『風紋五十年』書影。
店頭にて販売中です。